Entrepreneurship/Management

「孫正義の300年生き残る企業を作る」という志と群戦略に感銘

今回はソフトバンク孫正義社長の「300年王国への野望」を読みましたが、孫さんの圧倒的な行動力や成功だけではなく失敗も沢山ある仕掛けた勝負の数々、

目指している野望、志の高さ、群戦略の考えに感銘を受けると共に、M&A交渉相手には交渉条件を語らずにビジョンと夢を語って口説く情熱、人たらしぶりに学びだらけの著書でした!



孫正義 300年王国への野望

  1. 鯉の群れ・サラブレッドから学ぶ多様性の大切さ

競 走 馬 で あ る サ ラ ブ レ ッ ド は 今 も 人 間 の 手 で 優 秀 な 馬 同 士 を 交 配 さ せ て 優 秀 な 種 を 作 り 上 げ よ う と す る 。 た だ 、 研 究 チ ー ム で 調 べ た と こ ろ 、 英 国 の 馬 は あ る 時 期 、 全 く 競 争 に 勝 て な く な っ た こ と が 分 か っ た 。 原 因 は 何 か 。 馬 好 き に は 有 名 な 話 で あ る 。

競 馬 の 新 興 国 で あ る 米 国 や フ ラ ン ス の 馬 に 、 ど う し て も 勝 て な く な っ た の だ 。 原 因 は や は り ジ ャ ー ジ ー 規 則 に よ る 行 き 過 ぎ た 純 血 主 義 だ っ た 。

サ ラ ブ レ ッ ド の 逸 話 か ら 企 業 は 何 を 学 ぶ べ き か ― ― 。

「 多 様 性 」 だ 。 異 な る D N A を 取 り 込 ん で こ そ 、 馬 も 会 社 も 強 く な る 。

一 見 、 互 い に な ん の 関 係 も な さ そ う な 企 業 群 を 作 り 、 そ こ か ら 次 の 時 代 を 勝 ち 抜 け る サ ラ ブ レ ッ ド を 作 ろ う と し て い る の だ ろ う 。 い ず れ も 孫 が こ れ と 認 め た ベ ン チ ャ ー で あ る。一 騎 当 千 の 起 業 家 た ち が 「 同 志 的 結 合 」 で つ な が り 、 互 い の D N A を ぶ つ け 合 う こ と で よ り 強 い サ ラ ブ レ ッ ド が 生 ま れ る 。こ の 考 え を 、 孫 は も っ と 端 的 に 「 群 戦 略 」 と 呼 ん で い る 。

サラブレッドの研究事例から「多様性・非純血主義」がきわめて重要というのは大きな学び。

最近世の中で「多様性、ダイバーシティが大事」と決まり文句の様に言われているが、サラブレットの事例やこの本を読んで「多様性の重要性」の論理が更に一つ追加された。

謙虚にお互いを尊重しあい、異なる意見がぶつかり合うことで優れたアイデアが生まれ、企業の成長が加速して初めて競争に勝ち抜ける「サラブレット」の様に強くなれる。なるほど。

  1. 「鯉の群れ」と「天下布武」から群戦略とビジョンの必要性

「 な あ 、 あ の 鯉 は な ん で 群 れ に な っ て 同 じ 方 向 に 泳 い で い く の か な 」 「 い や … … 、 な ん で で し ょ う ね 」   ま た 黙 っ て 鯉 が 泳 ぐ 姿 を 眺 め て い る 。 ど う や ら 群 れ の 先 頭 を 泳 ぐ 鯉 を 見 て い る よ う だ 。 「 不 思 議 な も ん だ よ な 。 あ の 鯉 が ど う や っ て 他 の 鯉 を 先 導 し て い る ん だ ろ う な 」 「 さ あ 」

そ う 言 っ て 孫 が 語 り だ し た の は 鯉 の 生 態 で は な く 、 グ ル ー プ 経 営 の あ り 方 だ っ た 。 な ぜ 先 頭 の 鯉 は 本 来 意 志 が バ ラ バ ラ な は ず の 他 の 鯉 を 導 け る の か 。 そ の 様 子 を 眺 め る こ と で 、 大 企 業 群 を 率 い る 組 織 が ど う あ る べ き か を 考 え る の だ と 言 う 。 「 あ れ を 見 ろ よ 。 誰 が 指 示 を 出 し て い る わ け で も な い の に 群 れ に な っ て ち ゃ ん と 泳 い で い る だ ろ 。 な ん で か は 分 か ら ん け ど 、 や っ ぱ り グ ル ー プ っ て の は こ う じ ゃ な い と ダ メ な ん だ よ な 」  <中略>

研 究 の 対 象 は 歴 史 や 生 物 学 に ま で 及 ん だ 。孫 か ら こ ん な 指 令 が 飛 ん だ 。 「 本 能 寺 の 変 ま で の 織 田 信 長 の 領 土 拡 大 の プ ロ セ ス を 調 査 し ろ 」   鎌 谷 た ち は 信 長 が ど ん な ペ ー ス で 領 土 を 拡 大 し て い っ た か 、 横 軸 に 年 月 、 縦 軸 に 領 土 の 石 高 を と っ て グ ラ フ に し て み た 。

す る と、あ る 時 を 境 に 急 激 に 領 土 が 増 え 始 め た こ と に 気 づ い た 。 い っ た い 、 何 が あ っ た の か 。調 べ て み る と 、 ち ょ う ど そ の 頃 に 信 長 が 「 天 下 布 武 」 の 印 鑑 を 使 い 始 め て い た ら し い こ と が 分 か っ た。

そ れ を 見 て 孫 は 満 足 げ に 言 っ た 。 「 見 ろ よ 、 や っ ぱ り ビ ジ ョ ン な ん だ よ 」   孫 の 持 論 は こ う だ 。 「 ビ ジ ョ ン が な い と 人 間 は 、 本 人 は 一 生 懸 命 働 い て 山 を 登 っ て い る つ も り で も 同 じ と こ ろ を ぐ る ぐ る と 回 っ て し ま う 。 そ れ だ と 狭 い 円 か ら 抜 け 出 せ な い 。 ビ ジ ョ ン が あ れ ば 一 目 散 に 高 み を 目 指 せ る 。 最 終 的 に 大 き な 山 に 登 れ る と い う わ け だ 」

鯉の群れをグループ経営に例え、なぜ先頭の鯉は他の鯉を導けるか?と、グループ経営の本質を突いた問い。

「賢者は歴史から学ぶ」と言うが、偉大な先人の歴史・本から学ぶことは大いにあり、信長や坂本龍馬の行動と結果を探求し、仮説を建て学びを吸収していく貪欲さは非常に参考になる。

明確なビジョンを掲げ、仲間がビジョンに共感をして行動すれば、チームとして結果を出すことに繋がる。

孫さんが掲げる「群戦略」において「多様性」と「ビジョン」は最重要事項であることに共感すると共に、会社経営において非常に重要なエッセンスだと思う。

  1. 「鉄砲」という当時の新世代テクノロジーを独占

も ち ろ ん 戦 闘 に 勝 ち 抜 く た め の テ ク ノ ロ ジ ー も 研 究 対 象 に な る 。 孫 が 注 目 し た の は や は り 鉄 砲 だ っ た 。 鎌 谷 ら に こ ん な 宿 題 を 与 え た 。 「 信 長 は 武 田 勝 頼 を 破 っ た 長 篠 の 戦 い で 鉄 砲 を ど う 使 っ た か 」

導 き 出 し た 結 論 は い わ ゆ る 「 戦 力 の 一 点 集 中 」 の 有 効 性 だ っ た 。 武 田 軍 と 対 峙 す る そ の 日 に 限 っ て 言 え ば 鉄 砲 と い う 最 新 テ ク ノ ロ ジ ー の 「 独 占 」 を 実 現 し た の だ 。

言 っ て み れ ば 信 長 は 鉄 砲 と 火 薬 と い う 新 世 代 の テ ク ノ ロ ジ ー を 一 時 的 に せ よ 独 占 と 言 え る 程 度 に 手 中 に お さ め て 、 そ れ を 惜 し み な く 最 強 の ラ イ バ ル に ぶ つ け た の で あ る 。こ う 考 え れ ば 、孫 が な ぜ 鉄 砲 に こ だ わ っ た か が 分 か る 。 そ れ は や は り 最 新 の テ ク ノ ロ ジ ー の 存 在 に ラ イ バ ル よ り 先 に 気 づ き 、 そ れ を 独 占 す る 手 立 て を い ち 早 く 講 ず る こ と の 大 切 さ を 学 べ る か ら だ 。

「信長が最新テクノロジーであった鉄砲と火薬を独占し、長篠の戦いで武田勝頼を破った」という考察は目からウロコ。

現世でも厳しい競争を打ち勝つには何が最新テクノロジーとなるのか?誰が既に実践しているのか?独占して一点集中して戦いに勝てるか?という視点は本質を突いている。

孫さんの例で言うと、日本の携帯事業競争で勝ち抜くべく、現代の鉄砲であった「iPhone」をいち早く独占!したことが顧客シェア拡大に繋がったことは明白。

日本・中国、海外の歴史から学べることは多々あり、僕も好きな志士が多い幕末時代等の研究をしていきたい。

  1. シリコンバレー流のスピードルール

ヤ フ ー ・ ジ ャ パ ン 立 ち 上 げ チ ー ム に は あ る ル ー ル が 課 さ れ た 。 日 米 で 分 か れ て 作 業 す る た め 連 絡 は す べ て 電 子 メ ー ル で 行 う が 、 必 ず 2 4 時 間 以 内 に 返 信 す る こ と 。 2 4 時 間 ル ー ル を 3 回 破 る と 罰 金 5 万 円 が 科 さ れ る 。

肝 心 な の は 返 信 の 仕 方 だ っ た 。 3 通 り に 絞 る と 言 う 。 第 一 に 無 条 件 の イ エ ス 、 第 二 に あ る 条 件 を 満 た せ ば 確 認 を 取 ら ず に 仕 事 を 進 め て も い い と い う 条 件 付 き の イ エ ス 、 第 三 は あ る 条 件 を 満 た し 確 認 を 取 っ た 後 に も う 一 度 全 員 に 確 認 を 取 る と い う 条 件 付 き の イ エ ス 。 ノ ー が な い の が ポ イ ン ト だ 。

このルールも非常に明快。「Noを言わずにどうやったらできるか?Yesになるか?」の打開策を常に考えて打ち出し、「24時間以内にメールの返事が三回来なければ5万円の罰金」は大企業では課すことができない、ベンチャーならではのスピード重視の取り決め。

ベンチャー企業のスピード追求術は引き続き学習しながら、まずは現企業内で一部でも良いから参考にして実践あるのみ!

  1. 一発勝負・理と情を混ぜた交渉

孫 の 条 件 は 一 発 提 示 。 余 計 な 金 額 交 渉 は な る べ く 省 き 、 相 手 に も そ う 伝 え る の が 孫 の M & A 術 だ 。

思 い 返 せ ば M & A デ ビ ュ ー 戦 と な っ た 米 コ ム デ ッ ク ス 買 収 で も そ う だ っ た 。 身 の 丈 を 超 え る と 思 わ れ る 8 億 ド ル を 一 発 回 答 と 言 っ て 一 切 の 値 引 き を し な か っ た こ と が 、
交 渉 相 手 の カ ジ ノ 王 シ ェ ル ド ン ・ ア デ ル ソ ン の 印 象 に 残 り 、 後 年 の ド ナ ル ド ・ ト ラ ン プ と の 電 撃 会 談 に つ な が っ た 。<中略>  

米国の携帯市場は実質的にすでに寡占、というよりはAT&Tとベライゾンの2社による複占の状態にある。
2弱のスプリントとTモバイルを束ねて第三勢力を形成することは、この独占に競争原理を持ち込むことになる、というのが孫の主張だ。

「この国にはもっと競争が必要なのです。新の競争がなければ国民の皆さんは良いサービスを受けられません」

「ここは正義を正義で語ることが許される国、最高の国です」

そして最後に叫ぶように訴えかけた。「アイ・ラブ・アメリカ!」

理と情の絶妙なミックスは孫のスピーチの真骨頂だが、この時も理屈ばかりではなく、いかにも米国人が好みそうなフレーズを織り交ぜることを忘れなかった。

これは非常に共感!「理と情」の両面での交渉術はどんな場面・相手にも有効。

相手に成る程、一理有る、と納得させるロジックから「理」を説き、感情に訴える「情」で落としにかかる。正に王道。

僕の仕事で様々な交渉機会が存在するが、交渉相手を動かす手法としてロジックだけを考えがちだが、情の部分も常に考える習慣・癖を身に着けないといけないなと痛感。本当に学びが多い!

 

孫さんが重要なM&A相手を口説く戦法が「一発勝負」。相手に売却希望額を一度で言わせ、その言い値を一切交渉せずに決めるというもの。

この手法は大企業ではまず考えらず、通常は企業の分析を開始してから最終投資判断はどんなに早い企業でも3-4カ月、この規模だと5-6カ月かかるのが普通。

それを既に従業員が「1万人」を超えるソフトバンクで1兆円以上の巨額ディールを「2週間」で決めてしまうスピードは半端ない。

6. 孫さんライブの衝撃

僕も生で孫さんの凄さを味わったのは約10年前の就活のとき。

ソフトバンク勤務の大学ゼミの先輩の紹介を受け、当時はけっして強い関心があった訳ではなかったソフトバンクの入社選考を受けることに。

今はどうかわからないが、当時のソフトバンクの選考を受ける為には「孫さんライブ」に参加することが出願の条件になっていた為、「取り敢えず聴きに行ってみるかー」という流れで渋谷CCレモンホールへ。

ぎっしり就活生で詰め込まれたホールの中、孫さんがようやく登場。そこから2時間の独演会がスタート。

そこから…壇上で発せられる言葉・話が余りの衝撃の連続…鳥肌がたち2時間ひたすらメモを殴り書き続けることに…

「16歳の時に単身渡米し、最初高1で入学したところ、授業が簡単過ぎて1日で高2に上げてもらい、高2も3日で高3に飛び級、高3も1週間で終えて大学入学試験を受けることに。見事入学」

「住むお金を持たずに渡米してきたため年間500-1,000万円稼ぎたいが、米国の大学で勉強することが目的だったため、働く時間は最大一日1-2時間しか働きたくない。そこで思いついたアイデアが一日一つ”発明”をすること。自分で作った発明ノートに一日一個発明のアイデァを書き留め、年間約300個超の発明案が完成。この内、二つが大当たりして(一つは電子辞書)、年間500-1,000万円稼ぐつもりが、3億円ほど稼いでしまった。ここでお金の欲求は一切無くなった。」「20代で病気にかかり本気で死ぬと思った。」

など、まだ序盤の話だけで皆ざわつく。今まで聞いたことも無いような話の嵐にドンドン引き込まれていき、あっという間に2時間が終了。

生の言葉の数々を聴いて、言うまでもなく、僕は孫さんの大ファンとなってしまった。講演後は大学の友達にもこの話をひたすら喋り続け、
ソフトバンクの面接でも「孫さんの講演で感銘を受けた。一緒に働きたい。」の一点ばりの志望理由で次々と面接を通過して内定。

結果、ソフトバンクに入社はしなかったも、今もテレビや記事で孫さんやソフトバンクのM&A決断のスピードの速さやアグレッシブに進化している姿を見ると、
流石だなー、こういう考えで進めているのかな?と関心をもって注目している。

そんな孫さんの本、久しぶりに読んだところ、やはり気持ちが高ぶり続けました。

多様性、ビジョン、新世代テクノロジー、スピード、交渉術のエッセンス、全てが今の仕事でも生かす事ができ、将来経営する上で最重要事項。

まだまだ本書に学ぶことが詰められているので、是非おすすめの本です!

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